春待ち草

柑ED後、エピローグ前。

胸が苦しい。今にもはりさけそうだ。
こんな気持ち、今すぐ捨ててしまいたい。
捨ててしまえたら、楽になるのに・・・。

それでも、私は苦しみに耐える。
だって、誓ったのだから。
あの人を待つと・・・・・・。

最初の数年は本当に苦しかった。
学校へ行けば、どうしたって顔を合わせてしまう。
目が合えばそらされてしまうのが辛かった。
でも、その後一瞬だけ見せる辛そうな表情を見れば、
辛いのは私だけではないと思えた。

その後の数年は、苦しいことにかわりはなかったが、
待つことに慣れてしまっていたような気もする。
高校も卒業し、新しい環境に順応しようとすることで、
あの人を忘れる瞬間も少しずつ出てきた。

それでも・・・・・・。
やはり、あの人以上に私の心を占領する人は現れなくて。

ねぇ、先生。
私、いつまで待てばいいのかな？
あの時と比べたら、随分と大人になったよ。
早く迎えに来てくれないと、先生の顔忘れちゃうからね。

季節はめぐり、何度目かの春。
私の元に届いた一通の手紙。

『話したいことがある』