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その時々の嵌りものについて、つらつらと思うまま書いています。 のんびりまったり更新中。
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野獣の受難日。 Chapter.2の続きです。

「お早うございます。衣笠先生」
「お早うございます。朝から随分と賑やかですねぇ」
「そうなんです。瞬君が張り切っちゃって」

「あぁ、それから、紙パッキンは要らなくなったチラシをシュレッダーに
かけたものだ」
九影が箱の中身を出していることに気付いた瞬が、また講釈を始める。
「それと、そのクッキーはオレの手作りだ。健康にいい野菜入りだぞ。
勿論、キャロットクッキーは人参の皮をすり下ろした物、キャベツのは青い葉を・・・」
「わぁーった。わぁーったから!とにかく、食うぞ」
放っておけば、いつまでも喋り続けそうな瞬を制し、九影がクッキーを
口に運ぼうとする。
「あぁ。オレが作ったものだからな。味は保証する・・・」
瞬が少し顔を赤らめながら呟いた次の瞬間・・・
「・・・う、うげっ!なんじゃ、こらぁ!!!」
九影が悲鳴をあげる。
「だ、大丈夫ですか?九影先生!」
「大丈夫も何も・・・み、水をくれっ!」
側にあったペットボトルを渡すと、一気に飲み干してしまう。
「なぁーにが、味は保証する・・・だ。こんなん食えたモンじゃねぇ」
「ば、馬鹿な!そんなはずは・・・」
そう言って瞬も、一つ口に入れると・・・
「・・・う、うぅっっ」
「はい、瞬君もお水」
やはり、不味かったようだ。
「・・・ははぁ。これは砂糖と塩を間違えたようですね」
自分も一つ口にした衣笠が、冷静に味を分析している。
「おかしい、昨日味見した時は美味かったんだ。それに、このオレが
砂糖と塩を間違えるわけがないっ」
「そうよね。瞬君が、そんな食べ物を粗末にするようなことするわけないわよね」
変な所で悠里が感心していると、
「なるほど・・・。犯人がわかりましたよ」
衣笠が、シュッと手にしていたチョークを投げ飛ばす。
「・・・ってェ!なァにすんだよォ。オバケ!」
「七瀬君のクッキーをすり替えたのは、清春君ですね」
「ちっ。バレたかァ!こうなったら、七十ニ計逃げるにしかずゥ!
逃げることにするってーのッ」
「こらーっ!それを言うなら、三十六計でしょー!勝手に倍にしなーいっ」
悠里は、見事なTSUKKOMIを入れながら、清春を追いかけていく。
「やれやれ。まったく誕生日だってぇのに、騒々しいったらねぇな。
ま、これだから、毎日退屈しねぇんだがな」
「全くその通りですね・・・ふふっ」

だが、九影を襲った悲劇はこれだけではなかった。
帰宅し、日課にしている寝る前の●ート●ャンプをする前に、
悠里から貰ったプロテインを口にすると・・・
「う゛ほっ!な、なんじゃこりゃぁっっ」
すり替えられていたのは、瞬のクッキーだけではなかったのだ。
「仙道・・・覚えてやがれぇ」
こうして九影の一生で一番騒々しい誕生日が幕を閉じた。


後日談:清春によってすり替えられたクッキーとプロテインは、衣笠によって
     取り返され、無事に九影の手に渡ったということだ。

                                                                                                                                 Fin.
 
 
 
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