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その時々の嵌りものについて、つらつらと思うまま書いています。 のんびりまったり更新中。
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Triangle ~第1色~の続きです。

「昔ね・・・」
しばしの沈黙の後、彼女がゆっくりと話し始めた。
「葛ちゃん覚えてないかもしれないけど・・・小学校1年の夏休みかな?
私がおたふくにかかったことがあるの」
「・・・・・・うん」
「伝染ったらいけないからって、みんなから隔離されて・・・。
痛くて、苦しくて、淋しくて・・・泣いてたら、葛ちゃんが来てくれて。
こうやって、手を握ってくれたの。あれは、嬉しかったなぁ」
「ほんと?」
「うん。誕生日も寝込んでて・・・。でも、元気になったら、二人で
お祝いやり直そうねって、言ってくれたんだよね」
「あぁ、そうそう。で、その後、俺が見事にかかってぇ、結局できなかったんだ」
「あはは。そうだったねぇ。・・・・・・元気になった?」
「うん。ありがとう」


「なぁ、内沼」
あの後、結局彼女はノリちゃんを探しに行き、自分も俺を送ると言って
きかなかったが、遅くなるし、ちゃんと責任もって家まで送るからと
ノリちゃんに諭され、渋々帰っていった。
「なぁに、ノリちゃん」
「うん。・・・俺、お前に遠慮しないからな」
「へ?」
彼の言ったことの意味はわかったが、とぼけたふりをした。
「だから、お前も俺に遠慮するなよな」


いつもと同じ放課後の図書室。
いつもと同じ三人で勉強会の途中。
「あ、俺・・・」
「俺、トイレに行ってくるわ」
「え?」
いつものようにトイレに立とうとした俺を制して、ノリちゃんが立ち上がった。
「だから、トイレに行ってくるから。さっきやったとこ、復習しておけ、な」
そう言いながら、彼が俺の可愛い従妹に目配せしたような気がした。
「・・・・・・・?」
彼の姿が扉の向こうへ消えた後、彼女が徐に口を開いた。

「あ、あのね。葛ちゃん・・・」

                                                                                                                           Fin.
 
 
 
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